『宇宙…それは人類に残された最後のフロンティアである。
そこには人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない。
これは人類最初の試みとして、5年間の調査飛行に飛び立った宇宙船USSエンタープライズ号の、
驚異に満ちた物語である――。』
SFではおなじみのこの名台詞だが、最近の私は、ちょっとした逃避先として本気で「宇宙」に興味を向けるようになった。というのも、地上に目を向ければ、オールドメディアは切り取りや偏向報道の嵐。議論は堂々巡りで、誰かの失言が数日間リピート再生される日々が続いている。
嫌気がさし、ここ数年ですっかりテレビや新聞から距離を置き、代わりにYouTubeなどのネットメディアを眺めるようになったのだが、アルゴリズムは遠慮というものを知らない。
少し宇宙関連の動画を見ただけで、次はブラックホール、その次は量子力学。気づけば「人類の悩みがいかに小さいか」を延々と教え込まれることになる。
ここ1〜2年、私の関心はすっかり『最後のフロンティア』へと引っ越してしまった。
地上ではAIだ量子計算だと騒がれ、テクノロジーは過渡期どころか過熱気味だが、ひとたび宇宙に目を向けると、分かっていることは驚くほど少ない。
現在、人類が直接観測できている物質は、宇宙全体の たった5% に過ぎないという。残りの95%は、姿も性質も分からないまま「ダークマター」「ダークエネルギー」と名付けられ、前者が約27%、後者が約68%を占めるとされている。
要するに、私たちの宇宙は「ほとんど正体不明」でできている。
ダークマターは光を放たず、当たっても反応しないが、重力だけはしっかり主張する“見えない物質”。
ダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速させている“正体不明の力”だ。
小学生に説明するなら、「宇宙には見えない妖怪がいて、ひっぱったり押したりしている」と言えば、ほぼほぼ正解である。
宇宙は膨張しているのか、収縮しているのか。そもそも“実在”しているのか。
これほど科学が進歩しても、どれも結論は暫定版のままだ。
さらにスケールを拡大すると、今度は 銀河同士が壮絶な引力の戦いを繰り広げる「銀河合体(Galactic Merger)」 が、実際に観測されている。

潮汐力によって腕は引き裂かれ、恒星は弾き飛ばされ、最終的には中心のブラックホール同士が合体する。もし太陽系が巻き込まれれば、歴史は一瞬で消滅する。
私たちが住む天の川銀河と、最も近いアンドロメダ銀河は約40億年後に衝突すると長らく考えられてきた。ところが2025年6月の研究発表では、天の川銀河の周囲を公転する不規則銀河「大マゼラン雲」の影響が想定以上に大きく、衝突確率は約50%に下がったという。一方で、大マゼラン雲が天の川銀河に飲み込まれる確率はほぼ100%とされ、その時期もより早まる可能性が示唆された。
もしかすると明日かもしれない――と言いたくなるが、さすがにそこまで短期ではないと願う。
ただし、話のスケールが大きすぎて、「何を言っているのかよく分からない」byサンド状態になるのは確かだ。
前触れはない。警告もない。人間が今日の悩みを抱えている一方で、宇宙は相変わらず容赦がない。
「次の瞬間も宇宙が続いている保証はない」という、なかなか大胆な仕様で運営されている。
ここまで来ると、私たちの宇宙は、高次元生命体が週刊誌の付録として作った 「宇宙育成キット」 の中に存在しているのではないか、という気さえしてくる。

もし飽きられてキットを捨てられたら、私たちはまとめて消滅する――そんな可能性も、理論上はゼロではない。
説明書の注意書きに 「※途中で捨てないでください!」と書いてあることを祈るばかりだ。
つまり何が言いたいかというと、こんな不確定だらけの宇宙で、明日消えるかもしれない世界に、私たちは生きているということだ。
であれば、日常の小さな不安や心配事に必要以上に振り回されるのは、ある意味とても非合理的だ。
どうせいつ終わるか分からないのなら、我慢ばかりせず、なるべくリスクを恐れずに、自分が納得できる選択を積み重ねていきたい。
「いつ消滅しても後悔しないように生きる」――それくらいで、ちょうどいい。
宇宙は重厚のようで、意外と儚い。
そして、その儚さが、むしろ人生を少し軽くしてくれるような気がしている。
【 今月のブログ 設計部門:Aさん 】